2020年度通常総会議案承認の御礼

2020年6月吉日

会員各位

公益社団法人日本技術士会登録グループ

企業内技術士交流会 会長

 斉藤 泰久(応用理学、建設、総合技術監理部門)

新型コロナ感染症(Covid-19)の全国緊急事態宣言に伴う感染症対策のため、2020年度通常総会は書面決議とさせていただきました。各企業連絡員の皆様には、すべての議案についてご承認を頂きましたこと、ここに御礼申し上げます。交流会の2020年度の活動を慎重に始めていきたいと思います。また、3月上旬から4月の総会前役員会、総会共に開催はできないだろうという見通し立て、さらなる総会の延期や延期後の開催も困難になる事態を想定し総会準備を進めていただいた総務部会をはじめとした役員の皆様にもお礼申し上げます。

さて、2020年の新年度を迎えてすぐの緊急事態宣言でした。政府の感染症対応の最も基本となる感染者の実数把握が、極めて文系的・文学的表現のもとで実施されてきたと感じています。目の前で起きている現象を観察し、それがどのようなメカニズムのもとに生じているのかを調べ分析するといった作業を自ら・組織として行い、次の行動へつなげるという力が日本は物凄く低下しているのではないか、と感じた自粛期間でした。ある著名な有識者は、日本は科学ジャーナリズムのレベルがとても低いとも論じていました。

私たち技術者は、様々な不確実な事象に囲まれたとしても、何が起きているのかを定量的に把握することに注力します。そして、技術の精度向上を図ったとしてもゼロとすることができない不確実性が含まれる数値を利用することを前提として、製品の機能や利用する人への安全性等の観点から製造や運用面から設計上の安全率を設定し、不確実性による誤差の影響が生じないよう不断の努力を積み重ねてシステムを構築し運用します。

専門家委員会や政府は2月の段階でクラスター対策を行う方針を示しましたが、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」という感染相談の目安の運用やPCR検査が増えないことが大きな問題となりました。私が特に問題と感じたのは、PCR検査の精度が70%位だから使えないといった言説が、PCR検査の拡充を抑制しようとする医学系専門家の声としてマスコミを通じて拡散したことでした。検出精度が不明な試験は勿論使えませんが、70%の精度を確実に期待できるならいくらでもやり様はあるはずです。結果的に、保健所の能力を始めとする医療機関のキャパシティが整っていなかった、ということが最も大きなPCR検査抑制理由であったと専門家会議が説明し始めたのは4月下旬からだったでしょうか。例えるなら、原料は調達したのだけど生産ラインを整える指示が機能しなかった?というようなことだったようです。そしてこのような事態に対し一般的には、「マネジメント力がない」「技術力がない」と客観的な評価がなされます。

Covid-19は、我々企業内技術士に対しどのような新たな課題を提示しているのでしょうか。すべての産業セクターのカントリーリスクに感染症が明記されたこれからの時代、さらなる技術分野の融合や協働により新たな感染症に負けない経済社会を構築することが求められるのでしょう。医療工学、医工学、医療福祉工学といった人の健康や生命を守る分野と、社会・環境経済学といった健全な社会活動、経済活動、自然・生活環境を創造し守る分野とがより強く連携する。企業内技術士がその連携のハブとして活躍する姿を思い描きたいと思います。

2020年総会議案承認結果は こちら

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