斉藤会長よりごあいさつ

 本会は、1989年(平成元年)に公益社団法人日本技術士会の登録グループとして設立されました。2019年度(令和元年度)は設立30周年記念年度として活動し、12月には芝浦工業大学豊洲キャンパスにて、2015年ノーベル物理学賞を受賞された東京大学卓越教授・特別栄誉教授/宇宙線研究所長の梶田先生をお招きし、「ニュートリノ振動の発見およびそれを支えた技術と技術者」というテーマにて、30周年記念シンポジウムを開催いたしました。参加者は400名を超す大変盛況なシンポジウムとなりました。

 企業内技術士交流会は、企業に所属する技術士が、技術分野を超えて異業種企業間での交流を図り、技術士としての自己研鑽を図ることによって所属企業の発展に寄与することを目的としています。そのために、総務部会、企画部会、広報部会、行事部会、シンポジウム部会等で様々な活動を行い、すべての会員の皆様に活動機会を提供しております。現在の会員数は93名(正会員77名、準会員1名、特別会員15名)で、会員の技術部門は、機械、航空・宇宙、電気電子、化学、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、情報工学、応用理学、環境、原子力・放射線の13部門となっています。ここ数年の企業会員数は90~100名程度で推移しています。分野としては、船舶・海洋、繊維、農業、森林、水産、経営工学、生物工学などの技術部門の会員が不在です。IoT,AIなど、IT・ICT技術がますます全企業へ拡大し、技術分野の融合化が進行しつつある状況にあって、企業内技術士はすべての分野での活躍が期待されています。本会においても、すべての技術分野が参加する異業種間のヒューマンネットワークの拡大・強化を目指したいと考えております。

 さて、令和に入っても大型台風による暴風や広域での長時間豪雨が、広域停電や同時多発的な河川の氾濫を発生させ、地域の社会システムに大きな影響を及ぼしました。そして今、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、社会生活を安心・安全に送るために必要とされる医療インフラを、海外では実際に崩壊させ、また国内においても崩壊させうることを明らかにしています。こういった未曽有の災害の影響をほぼすべての国民が受けるような事態に対し、私たち企業内技術士はどのような社会貢献を果たすことができるのでしょうか。おそらく平時から、多様な技術分野で活躍するそれぞれの技術士が、豊かな発想力のもと、将来のあるべき姿を工学的に思考し、あらゆる事業や政策へ日常から発信し続けることが重要ではないかと考えます。COVID-19は、よりレジリエントな社会経済システムの指向へ転換させるであろうと想像します。

 入会されていない企業におかれましては、本会での交流活動を通じて貴社の技術者がより広いヒューマンネットワークを獲得し、その価値を社内へ展開する機会が得られますよう、本会へ入会することをお勧めしたいと思っております。

            2020年4月7日
(公社)日本技術士会登録グループ
企業内技術士交流会

会長 斉藤 泰久
(応用理学、建設、総合技術監理部門)